女性の雇用の現状と課題 研究・調査(レポート抜粋)
仲尾聖子
家庭生活の中で女性が結婚し、子育てをしながら、精神的にも経済的にも女性が自立していくことは理想ですが、パートナーや周りの人の協力や理解がなければ実現はできません。
現在の少子化・高齢化社会を背景に、女性にとって「仕事とは?」「働くとは?」 女性の就労状況を把握し、問題点や原因を探りながら、今後自分達で何ができるか考えて行きたいと思いました。

【 女性の年齢階級別労働力率 】

日本では、家庭内における「無償労働」は女性が担うことが好ましいという傾向にあります。厚生労働省「女性労働白書」において、近年における女性の就業状況のM型は浅くなってきていますが、「女性の労働市場への進出が進んできたこと」と楽観視できるのでしょうか?

M型が浅くなってきた背景には、近年女性の生き方の選択肢が広がってきたこと、「結婚しない」「こどもを作らない」なども要因として挙げられるのではないでしょうか?

女性が活き活きと家庭と仕事を両立できる社会とは、自分なりに整理していきたいと思いました。

■ 調査方法 愛媛での女性の就労状況

□21世紀職業財団へ訪問。
□セミナーへ参加

愛媛の女性への再就職の状況に関しての統計データ等は把握しておらず、また、事業主が女性の雇用に対して行っている助成金制度や育児休暇他の利用状況など情報を得ることはできませんでした。

定期的に行われている、パートタイム労働ガイダンスにも参加しましたが、ここでは税金や社会保険の仕組み、パートタイマーの労働基準法の一部説明(有給休暇等)、各相談窓口の紹介などの説明を受けました。

保育サポーター制度もありますが、登録者の個人情報の紹介のみで、きめ細やかなコーディネートを財団がしているわけではありませんでした。

財団の支援の中には、再就職を支援するために、教育訓練の一部を負担しますという内容があります。

≪ 指定教育訓練施設 ノヴァ(松山校)≫
○ レギュラーコースB英語7A対策(通学制)12ヶ月入会金21,000 費用766,200 
○ ワープロ表計算検定対策一般講座(通学制)9ヶ月入会金21,000 費用681,450 他
講座一年間入学金を含め50万円から80万円近く必要な費用の中、五万円支給されるというものです。

女性の再就職支援の為の財団ですが、私はほんとうに社会復帰、再就職を望む人たちが望んでいる支援とはかなりずれがあると感じました。


愛媛は女性の就労も含め女性問題について、遅れているように思います。さらに、調べれば調べるほど、昨年の基礎コースで学んだことをより深く理解することができると同時に、女性が働く・再就職をする時の壁が思った以上あるということ。そしてそれには、必ずジェンダーに縛られているということ、自分なりに調べてみて、今まで気づかなかった女性の労働に対して、さまざまな課題があることを再認識しました。
情報収集の結果、自分なりに気が付いたこと、新たに感じたことを一部報告致します。

■「愛媛労働局 雇用均等 愛媛の働く女性」


愛媛での男女別、年代別賃金格差と勤続年数をあらわしています。男女の賃金格差の要因については、出産育児の為、途中で仕事を断念し勤続年数が足りない為、男性より昇給が少なくなり格差ができる。また、継続年数(会社への貢献度)が短いという風潮がある為、重要なポストへ就くことができないなどが挙げられています。

しかし、独身で継続して仕事を続けていたとしてもグラフのように、65歳以上でも男性の約半分の賃金格差が出ています。高学歴、スキルがあっても、昇進、重要なポストへの投入がない現状もあらわしています。

愛媛の女性雇用者は、年々増加しています。 12年度では、女性雇用者は30% およそ3人に1人は仕事をしている状況です。今後も女性の雇用は増えていくと考えられます。

しかし、はたしてこの中にどれだけ、子育て中の女性が正社員として働いているか、また能力に応じた賃金がもらえているかの詳細については調べることができませんでした。

■パートタイム求人割合とパート賃金

悪化する雇用情勢・不況の中、男性の雇用が今は難しくなり、問題視されていますが、企業にとって、女性の仕事復帰は低賃金(パート・アルバイト)で雇用でき、好都合ではないのでしょうか?


女性が子供を産むことは、「性」ですが、女性が子供を育てるべきは、「ジェンダー」です。そして、女性は結婚や子育てを理由にすぐ仕事をやめてしまうから、また、家庭をおろそかにして働こうとしているので、安い賃金で当然となるとこれは、差別ではないでしょうか?

■アメリカに比べて大きい我が国女性の出産・育児による就業中断への影響


社会的に根強く残っているジェンダーですが、男性社会に限らず、女性の中でもジェンダーに縛られ、自分らしい生き方ができない女性も多数いるようです。

子供ができたら、いったん仕事を中断する理由のなかで、「3歳までは母親の手で育てることが好ましい」=「3歳児神話」が根強く残っている背景が挙げられます。
また仕事を続けたくても安心して子供を預け、仕事ができる社会的な仕組みが、アメリカにくらべると、遅れており、日本では近くに両親が住んでいて子供を見てもらえる環境でない場合はいったん仕事を中断せざるをえないことも挙げられます。


  

【 3歳児神話について 】
アンケート調査によると、子供がいない夫婦は、「三歳になるまで、母親が子育てをした方が好ましい」に賛成する人数は、40%近くいます。しかし家庭の事情などにより、実際に保育園等に預けてみると、夫婦の考え方はかわってくるようです。「3歳児神話」に関してはどちらかというと専業主婦に根強く残っているようです。 

■子育てに自信を持てなくなる専業主婦が7割


当府「国民生活選好度調査」(1997年)によれば、未就学児童を抱える母親の半数以上が、育児の自信がなくなることがあると答えています。特に、近くに両親がいない、転勤などで友達が出来にくいなど、社会から孤立してしまいがちな専業主婦のほうが割合は高く、全体の7割に達しています。

子育ては、父親、母親がお互いが協力し合うことではないでしょうか?そして、子供に必要なのは、ただ、母親と一緒にいる時間の長さより、毎日充実した生活を送っている両親と一緒にいる時間や内容ではないでしょうか? 

■男性も育児休業を取ったほうがよい



■行政や企業の育児に対する支援は十分である。


このように、結婚して子供を育てるとなると、好きな仕事が続けられない、また、核家族では子育てが難しい社会状況の中で、近年の女性達の結婚に対する考え方も変わってきているようです。20年前と比較してみると、適齢期と呼ばれる年代も20代後半から30代と、上昇する傾向にあり、晩婚化を裏づける結果となっています。

しかしながら、晩婚化が進むと、いったん仕事を中断した女性が、社会復帰しようと考えた時の年齢(子育てが一段落する年代)は、40代となり、再就職はますます難しい状況となります。
自分の生活や生き方に満足している女性ばかりなら良いのですが、近年多くなる離婚率、幼児虐待の増加、パラサイトシングルの増加、犯罪の低年齢化、女性・母親が自分らしく生きることは、社会全体の幸せにつながるのではないでしょうか?


では実際に専業主婦が社会復帰を考えた時、どのような壁があるのだろうか?

35歳主婦
子供二人、末子が小学校入学のため、再就職希望
一般事務 基本給13万円

夫40歳 基本給33万円
(配偶者手当て、配偶者控除)
愛媛のフルタイムでの事務職の平均基本給は【ハローワーク 事務系調べ】13〜14万円です。賞与なども含み年収140万を超えてしまいます。そのため今までの夫年収からの配偶者控除や配偶者手当はカットされます。また、健康保険や厚生年金も給与から差し引かれることになります。

年齢42歳 男性 役職あり 給与明細 年収5,178,858円
月手取り 318,526円 賞与 夏484,329円・冬838,171円
扶養家族 妻 子供2名   扶養手当 妻5,000円 子供1人3,000円

■シミュレーション

年齢35歳 女性 一般事務経験あり 給与年収 1,536,302

基本給130,000円 手取り月114,714

○ 妻がフルタイムで仕事をする場合、夫の給与より、妻の扶養手5,000円がカットされる

○ 扶養家族が3名から2名に変更になるため、税金が、7,610円から9,760円へアップする。

○ 月々の手取りから、税金2,150円+5,000円=7,150円減少となり 年収 78,566円減少する。



フルタイムで仕事をするとなると、子供のこと、家庭のことと時間に追われ、夕食もお惣菜、外食などが増え、結果的に食費が増加することにもなります。また外に出る為に、化粧品代・洋服等も今まで以上の出費となり、結局何をしているのかわからなくなる。それなら、月に15日以内、5時間程度の勤務で5万円のパートでいいのでは、と考えてしまいます。

これが、再就職を躊躇している専業主婦の思いではないでしょうか?責任をもって社員として働くことは、社会で学ばせてもらえることがたくさんあります。自分次第でやりがいやスキルアップにもつながるのではないでしょうか?

最近、コミュニティビジネスというのが、注目されています。グループや個人でボランティアなどに参加し、さまざまな経験することも経歴として残り、そこで学ぶこともたくさんあります。

 

社会保険や厚生年金を支払うことは、損をすることではありません。社会保険や厚生年金は会社が半分負担しています。子育てをしながら、正社員としてフルタイムで仕事をするということは大変ですが、厚生年金をかけていれば、老後、基礎年金に厚生年金がプラスされます。

健康保険があれば、仕事中、けがや病気をした時には、ちゃんと保証(傷病手当の支給)されます。また次子の出産についても、6ヶ月まで仕事を続ければ、各種手当(出産手当・育児育児一時金・育児休業給付金)も支給されます。

雇用保険は、理由があり仕事をやめることになっても、失業保険が何ヶ月か受けられる制度です。失業保険を受け取りながら、職業訓練も延長して受けるため、再就職の為のスキルアップの道も用意されています。
一度、子育てがいったん落ち落ち着く時、40代からの20年の人生をどういきるか、どうありたいか、一度考えてみてことをお奨めします。20年すれば、親の介護問題も待っています。夫や親に依存して生きていくのは楽ですが、本当に自分らしい生き方ができているのか?自分にはもっとできること、可能性があるのではないか考えてみてはいかがでしょう。

現在、経済的理由で共働きは増え、若い夫婦の場合、男性の家事労働の分担も少しずつは浸透していますが、まだまだ女性の負担は大きく、夫婦同士では、解決できない社会的な問題もあるようです。

行政が率先して、福祉面の充実・サポートをしていかなければ、解決には結びつかないことも多々あるのではないでしょうか?

例として、2003年4月現在の都道府県乳幼児医療費助成制度一覧から都道府県によってかなりの相違があります。

これは、都道府県知事の考えや理念によってきく左右されています。
東京都では2001年10月に未就学児まで通院、入院対象が拡大されました。隣県香川でも5歳児までを通院、入院を対象にしています。これらの都県の知事は「子育てに理解がある」「子どもに優しい」ということになるのではないでしょうか?詳細には、所得金額に応じて、また自己負担額などありますが「未就学児まで,所得制限なし,自己負担なし」のところが多くなっています。愛媛県の場合は、通院に対しては2歳児まで、入院に対しては未就までとなっています。通院に関しても未就学までと統一されることを望む声は多いのではないでしょうか? 

≪ まとめ ≫
私が調べて感じてきたことは、プライベートな問題というのは、すべて、社会全体、突き詰めていくと政治に関係しているということです。女性は政治には無関心といいますが、私も含め女性、特に主婦層は家庭内のことで手一杯です。「政治なんて誰がやっても同じ・関係ない」とあきらめている女性が多いように思います。

しかし、世の中は市民が選んだ、市長や議員達でさまざまなことが決められていることも忘れてはなりません。政治に無関心ということは、間接的に今のままの政治(福祉よりも公共事業などに税金を使うこと)に賛成しているということになるのではないでしょうか?「せめて選挙へ行くこと」無力ですが、私も親であり、市民の1人です。住みやすい町とはなにか?自分で出来ることは何か?せめて考えることはやめないでおこうと思います。

今後女性たちが目覚め、将来どうありたいか、あるべきか、考えることができる機会や学べる機会への参加が第一歩につながっていきます。そのための意識啓発の場(コムズのような施設へたくさんの人が楽しく参加できるような仕組み)は必要です。女性たちの小さな行動の積み重なりが、やがて女性が社会参画できる社会、女性の気持ちを反映される政治、暮らしやすい社会へとつながっていくことに期待したいと思います。